活動事例

児童・青少年に対する IT教育の支援事業

実施報告:
小学生向けカード型教材の活用例

1人1台のタブレットで
PDF版のカード教材を
活用

5年生担任
金高 正俊
(かねたか まさとし)

福岡県飯塚市立立岩小学校では、カード型教材「ビーバーチャレンジ学習カード」を授業と朝の学習時間に利用しています。児童数の多い学校でPDF版を中心に活用する利点や活用のヒント、子ども達の様子などについて、同校のICT担当で5年生担任の金高正俊先生にお話を伺いました。(この取材は2025年3月に行いました)

小学校の紹介

飯塚市立立岩小学校

立岩小学校は1・2・3・5・6年各4クラス、4年3クラス、特別支援学級5クラスの合計28学級、721名の子ども達が学んでいます。校区に市役所や病院などの施設、駅、商店街、古墳、公園などがあり、全校児童が生活科や総合的な学習の時間を中心に、地域の特色を学習しています。また飯塚市はプログラミングコンテストを開催するなどICT教育に力を入れており、立岩小学校もコンテストに出場し2度の受賞を果たしています。

申し込んだ
きっかけ

大規模校でも存分に
使えるPDF版

本校のICTの主担当として、プログラミング的思考を育める教材を探していました。ビーバーチャレンジ学習カードのチラシが財団から届き、いい教材だと思っていました。本校は児童の数が多いので1校5セットまでという申込数制限の中では全児童向けの活用は難しいと考え、申し込みを躊躇していましたが、今回財団からPDF版の存在をご案内いただき飛びつきました。

プログラミング的思考を育む教材はそれほど多くありません。あったとしても高学年向けのものだったり、ドリルの使用が必須だったりします。その点、この教材は低学年用と高学年用に分かれていて、プログラミングではなく日常のことを取り入れた内容なので、子ども達が使いやすく楽しいだろうと思い導入しました。

写真:インタビューに答える金高 正俊先生
放課後、担任の金高先生にお話を伺いました

PDF版の
使い方とメリット

書き込みや拡大縮小が
自由にできる

タブレット端末が1人1台という環境にあるので、端末ソフトで全員に同じカードを配布し、書き込みさせることができるのがPDF版の大きなメリットです。子ども達が自分で自由に書き込み、書き直しをするほうが、格段に理解が進みます。また、画面上でカードの拡大縮小が可能なので、発表の時に説明したい部分を拡大表示できるのも相手にわかりやすく伝えることができる良いところです。

写真:授業中の教室
タブレットをディスプレイに投影して発表する様子

授業での活用の他、音読や漢字練習などを行っている15分の朝学習の時間でも活用しています。PDFであれば瞬時にタブレットにカードの問題を送ることができ、子ども達は送られた問題をまず自分で考え、その後、隣の児童と答え合わせをするということを行っています。クラス全員の参加が容易で、短い時間で活動できることもメリットのひとつです。

写真:机に向かう児童ふたりの後ろ姿
タブレット端末を使い児童同士で答え合わせ

使ってみた効果

普段は発言しない児童が
自分から手を挙げるように

勉強が苦手な児童の中には、授業中に自分の意見を言うことに消極的な児童もいます。算数などでは知識の積み重ねが必要なため、理解していなければ発言することは難しいですが、このカード教材ではプログラミングの知識は必要なく、カードに書いてある情報とイラストで楽しく問題を解くことが可能です。

写真:教室前方の大きなディスプレイに表示されたタブレット画面
カードに描かれているイラストを使い解説が可能

低学年用の問題からチャレンジしてステップアップできることで、普段は自分から発言しない児童が積極的に発言する様子が多く見られます。勉強が得意ではない児童が早く問題を解き終わって友達に教えている姿がとても印象的でした。発言の少ない児童がこの教材で自信を付け、友達に教えたり普段の授業でも自分から手を挙げて発言したりする、という機会が増えました。

活用のヒント

PDFとカードの
ハイブリッド活用

本校では主としてPDF版を使っていますが、カード版も使いハイブリッドな活用をしています。カード版ではランダムに問題を選び、グループごとに取り組みます。特に、タブレット端末に慣れていない低学年では、カード版のほうが使いやすい印象です。グループワークでは机の真ん中に置いたとき、どうしても見えにくい児童が出てきてしまいます。カードを拡大印刷して机の真ん中にどーんと置いて、それをみんなで見ながら問題に向かい合うのも有効なやり方だと思います。

写真:カードを真ん中に7人の児童が集まっている
1枚のカードを囲みグループで問題に挑戦する様子

高学年になるとタブレット端末にも慣れるので、一人ひとりがPDFを見ながらじっくり考えたり、二人で1台の端末を使って相談したりしながら取り組むこともできます。

児童数の多い学校で1人1台のタブレット端末を有効活用できる教材として、今後も本教材のPDF版の活用場面を増やしていきたいと思います。

カード型教材は
どんな教材?

ビーバーチャレンジ学習カード

写真:ビーバーチャレンジ学習カード 教材について詳しく見る別ウインドウで開きます