つくば市立竹園西小学校で3年生を担任する佐久間理志先生は、クイズ形式で情報科学と論理的思考を学べるカード型教材「ビーバーチャレンジ学習カード」(以下、カード)を朝の学活の時間に利用されています。そのねらいと活用方法、子どもたちの反応についてお話を伺いました。
小学校の紹介
つくば市立竹園西小学校
竹園西小学校は茨城県つくば市にある公立小学校で、6年間で目指す児童像に「自分の考えを表現できる・よさやがんばりが実感できる・目標に向かってやり抜く」を掲げて学校運営を行っています。つくば竹園学園として竹園東小学校・竹園東中学校と連携型小中一貫教育を実施しています。
使い方と
ねらい
ゲーム感覚で遊びながら
プログラミング的思考を身に付ける
月初めの席替えを行った後の朝の学活でカードを使用しています。席替えにより新しくなった班のチームビルディングを目的にメンバーみんなで1枚のカードの問題を解き、解いたら子どもたちが私のところに来て口頭で答えを説明します。答えが合っていたら得点がもらえるというルールにして活用しています。
授業ではないので、クラス全員の前で発表するといったハードルは下げる一方で、単なる遊びとは一線を引きたいという気持ちもありました。その点、カードで出題されている問題は、日常生活に基づく親しみやすい面とアルゴリズムにフォーカスしたプログラミング的な面をバランスよく備えています。
わからなかったらパスしてもいいというルールも設け、パスしたカードはパスコーナーに置いておきます。席替えで何度か活用するうちに「別の班の人がその問題に正解したら得点がプラスされる」という新しいルールもできました。子どもたちはゲーム感覚でチャレンジしていますが、繰り返すことで知らず知らずのうちに少ない手順でメンバー全員が説明できるようになり、「早くビーバーチャレンジやりたい!」と言っています。
使ってみた
効果
失敗を恐れずチャレンジする
粘り強さが出てきた
このカードには手軽に使えるアンプラグドプログラミング教材のメリットがあります。カードを繰り返し使っていく中で、失敗を恐れず何度でもチャレンジする力が子どもたちに芽生えてきました。どんどん先に進みたいと前向きになった気がします。これは生きる力につながります。
また、以前よりも躊躇なく自分の回答を口にするようになりました。どう説明すればいいのかのポイントも抑えられるようになってきました。クイズに積極的に挑戦することで粘り強さも身に付いてきたようです。
カードで出題されている問題はオリジナリティがあり、プログラミングの経験がある子もない子もフラットな状態で取り組めます。教える側の視点では、カード型で準備しやすく使いやすい。1セットあれば十分クラス全体で活動できます。
活用のヒント
すき間時間を有効活用、
大事なのは続けて使うこと
プログラミング的思考はどんな教科でも必要です。私はカードを朝の学活で利用していますが、授業の始めの5分や最後の余った10分など、すき間時間を使ってランダムにカードを1枚選んで問題を考えさせるのもよいのではないでしょうか。子どもたちがゲームとして楽しんでいるうちに、実はプログラミング的な力が付いてくる。小出しに使って継続することで子どもたちの力も向上すると思います。
こうした教材は楽しいだけで終わってしまうのではないかという心配もあるようですが、子どもたちにとっては楽しいだけで十分だと思います。おもしろいことに反応すると集中力が続きます。表向きは遊びながら、非認知的な部分で物事を論理的に考えられるようになっていると感じます。
教材が面白いから子どもたちが夢中になる。先生も気軽に使えるし、プログラミング的思考という本来の目的からずれることもない。色々な情報教材を使ってきましたが、このカードは子どもたちの感触がよく、子どもたちが楽しんでいるという手応えがあり、続けて使っています。プログラミング教育にとどまらずプラスアルファの部分で楽しみながら思考力を育む、あるいはコミュニケーション能力を高めるという観点で活用するのがおすすめです。