2021年9月に貸出教材を使って研究授業「教科等の学びを深めるプログラミング教育の推進 ~ プログラミング的思考とのつながりを見据えた授業づくりを通して ~」を行った加藤三紘(かとうみつひろ)先生に教材を使った授業の感想や子ども達の反響についてお話を伺いました。
小学校の紹介
甲府市立羽黒小学校
甲府市立羽黒小学校は、山梨県甲府市の住宅街にある小学校です。甲府駅の中心から車で15分ほどに位置し、『確かな学力を身につけ,心豊かで,心身ともにたくましい子どもの育成』を学校教育目標に掲げています。
貸出教材に
申し込んだ
きっかけ
大量の情報を生かす
運輸・流通のしくみ
インターネットで、「大量の情報を生かす運輸・流通のしくみ」の単元学習用のプログラミング的思考を学習できる社会科教材を探し求めていて出会ったのが、こちらの貸出教材でした。
授業を受けたのは担任をしている5年生31名です。この単元は全体で45分×9コマの授業構成とし、まず1コマ目~4コマ目までを教科書で学習したあと、3~4名ずつ10グループに分かれ、3コマでこの教材を使用しました。
当初貸出教材を使った授業は2コマの予定でしたが、休み時間に入っても教材に熱中する子ども達を見て、さらに学びを深めることを目的に1コマ増やし、3コマ目は各グループの発表をもとにしたディスカッションを行いました。
貸し出し教材は
どんな教材?
みんなでチャレンジ!
ITエンジニア
本教材は、運送会社の荷物の配達を題材にした小学5・6年生向けの貸出教材です。子ども達は運送会社からの「効率の良い配達ルートを見つけて欲しい」というミッションに挑戦します。プログラミングの基本となる「仮説を立てて検証し、物事を論理的に考える = プログラミング的思考」を用い、子ども達自ら議論をし、学習することをねらいとしています。
実際に授業を
やってみて
教材の使いやすさと、
熱中する子ども達
教材自体とても使いやすいものでした。使う教具は、B2サイズの地図、配送トラックにみたてたセンサーロボット、そして、方向指示シールです。シールの大きさは子ども達にとってちょうど良い大きさで、地図も使いやすく子ども達の思考の基地となっており、地図上で何度も試行錯誤を繰り返していました。
効率の良いルートを見つけ出すために実際にストップウォッチを使い配送にかかった時間を計ります。「このルートにした理由」を考えている言葉が次々に出てきて、ひたすら熱中していました。
「大回りをすると無駄が多いから、大回りしないルートが良いと思った。」、「直線のルートを多くし、曲がる回数を少なくすると最短のルートになると思った。」など、数多くの回答が出てきました。
体験を通して
前進する
子ども達の様子
より多くの子ども達に
体験の場を
5年生の社会科では、農業、漁業、工業など実際に体験できるものが少ないなかで、本教材は「運送会社の荷物の配達」という子ども達にとって身近な題材を疑似体験でき、その体験から、学習が大きく前進している子ども達の様子を目の当たりにすることができました。
また、教材の貸出期間が2週間あったので、特別支援学級の2年生を含む10名の授業にも使いました。担任が特別支援学級の子ども達に教材を見せたところ、「楽しそう!」と言いながら早速手に取って使っていました。対象の5・6年生に限らず他の学級・学年でも、工夫次第で利用できるという可能性を感じた教材でした。
ITが苦手な教員でも無理なく進められると思うので、より多くの教員に知ってもらい有効活用してもらうことで、プログラミングの基本となる「プログラミング的思考」の学習に繋がればと願っています。