活動事例

障がいのある青少年に対する修学及び 就労機会創出の支援事業

実施報告:
中央大学ダイバーシティセンター

障がいを持つ学生と
避難訓練することの大切さ

ダイバーシティセンター事務長
川村 源太
(かわむら げんた)

「障がいのある青少年に対する修学及び就労機会創出の支援事業」の第二期助成金を利用された中央大学 ダイバーシティセンター事務長の川村 源太様に申請の動機や備品購入後の効果についてお話しを伺いました。

ダイバーシティ
センター紹介

中央大学ダイバーシティセンター

2017年に公表した中央大学ダイバーシティ宣言を学内外に広く周知するために、2020年4月に発足し、その活動を組織的に行っています。

中央大学ダイバーシティ宣言がめざす「学びたいという希望を持つすべての人びとが差別なく集い、のびのびと学ぶことのできる学修環境を提供する」という目標の実現に注力し、本学においてはもちろん、社会に向けても発信できる機関を目指しています。

助成を申請した
きっかけ

災害が起こったら
どうなるのか

1978年から使用している多摩キャンパスは起伏のある丘陵地にあり、身体に障がいのある40名以上の学生が学んでいます。

点字ブロックやスロープ、多目的トイレなど施設のバリアフリー化や設備の改善を図っている最中ですが、まだまだ十分に対応できていない喫緊の課題があります。それは「災害時、緊急時にも障がいのある学生を取り残さない」という点です。

写真:
『イーバック+チェア』を使った横から見た様子。

限られた予算の中で新型コロナウイルス対策を優先せざるを得ない状況のため、災害時に障がいのある学生もスムーズに避難できるように避難器具購入の申請を行いました。

今回、助成先に採用していただいたことで、我々の取り組みを評価してもらえたことは本当にうれしかったです。ダイバーシティセンターの活動の方向性は間違っていないことがわかり、大変励みになりました。

助成金の種類

COVID-19・災害対応

  • 救護担架 ベルカ
  • エアーストレッチャー・レイズ・ローバル
  • エアーストレッチャー 設置台
  • イーバック+チェア 専用スタンド付き
  • 救護担架 ベルカ(購入数:22個)

    写真:救護担架 ベルカ

    救護担架『ベルカ』は3人一組になれば大きな負荷なく運べることがわかりました。

  • エアーストレッチャー・レイズ・ローバル(購入数:1個)

    写真:エアーストレッチャー・レイズ・ローバル

    エアーストレッチャー・レイズ・ローバルは、いざという時に雪道、砂利道、階段上り搬送が可能です。

  • エアーストレッチャー 設置台(購入数:1個)

    写真:エアーストレッチャー 設置台

    国際教育寮の避難訓練の様子。搬送具「エアーストレッチャー」の使い方を実演しています。

  • イーバック+チェア 専用スタンド付き(購入数:1個)

    写真:イーバック+チェア 専用スタンド付き

    災害時・非常時に歩行困難な方を上層階から階段を使用して避難させることができます。

導入後
期待される効果

使い方を学び合い
相互啓発へ

備品導入後、初めての避難訓練が教職員を中心に行われました。数名の学生も参加してくれました。

災害時に障がいのある学生や怪我をした学生を安全に避難させることを目的に器具を選びましたので、今後は学部生も含めて訓練を行い、器具の使い方を学ぶことで、障がいのある学生の災害時避難の啓発に繋げたいと思っています。

障がいのある学生にとっても安心して学業に励める環境を作ることができればと思います。学生も含めて訓練を行うようになれば、新たな使い方の発案や気付きがあるかもしれません。

写真:
エアーストレッチャー・レイズ・ローバルは階段の上り搬送が可能です。

使用してみて
わかったこと

障害のある学生を含めた
避難訓練をすることの大切さ

職員やスタッフだけで訓練をすると身体が自然に反応して、いざという時にバランスを取ってしまいます。車いすを利用する学生からは、力を入れられる箇所が他の人と違うため、車いすから乗り移るときの身体の支え方について「自分の思うように力を入れてもらえないことが怖い」といったフィードバックがありました。

また「初めてこのような本格的な避難訓練に参加した。見学ではなく、実際の災害発生時を想定してくれていてとても心強かった。その一方で、イーバックチェアに乗ることへの恐怖が払拭できなかった。できれば乗らずに避難できたらと思った」という意見を得ることができました。

友人である学生からは「訓練では車椅子を利用している友人と一緒にいて、避難器具も傍らにあってすぐに動けたが、本当の災害の時にそばにいられるかはわからないので不安もある。そばにいる誰もが彼を助けられるように事前に訓練することは大切だと思う」という意見が寄せられました。

今後は学生を交えて避難訓練を行い、リアルな感覚を積み上げていくことができればと思っています。

写真:インタビュー中の5分割された画面に、川村様と財団関係者4名が映っている
インタビューはオンラインで行われました。