「障がいのある青少年に対する修学及び就労機会創出の支援事業」の第二期助成金を利用された佛教大学。学生支援部 学生支援課 課長 西村拓生様と、同課 障がい学生支援 奥畑志帆様に備品の利用方法や学生の反応についてお話しを伺いました。
学校紹介
佛教大学 学生支援部 学生支援課 障がい学生支援
佛教大学は1912年の高等学院から1913年の佛教専門学校としての出発を黎明とし、現在では7学部14学科(2022年4月教育学部幼児教育学科開設予定)、大学院4研究科7専攻を配置して、学部生・大学院生あわせて約7000名を擁する総合大学として発展を遂げています。
佛教大学では、障がいのある学生ができる限り支障なく講義等を理解できるよう必要な措置を講じることを目標に障がい学生支援ガイドラインを策定しています。
建学の精神および障害者基本法の基本理念に基き、障害について共に学び、相互に支え合うことにより、障害があってもその能力を最大限に発揮できる環境を整えるよう努めています。
助成を申請した
きっかけ
学生の要望に応え、
体制を整えるために
申請当初、聴覚障がいの学生2名とノートテイク(筆記通訳)などの支援を必要とする学生が6名いました。
また、これまで支援専用のノートパソコンが大学側に配備されていなかったため、学生支援課所有のノートパソコンを使用していました。
オンライン授業の導入に伴い、支援を必要とする学生へのパソコン通訳・手話通訳、および動画教材の文字おこし、使用教材のテキスト化、点字化など幅広い支援体制で臨むには、パソコン通訳専用のPCや備品を揃えることが不可欠でした。その為、煩雑な手続きを解消し、支援を必要とする学生が増えたときでもすぐに対応できる体制強化を目的に、助成を申請いたしました。
助成金の種類
備品、アプリケーション
及びライセンス購入
購入後
期待される効果
支援専用の備品で
使える場が広がり、利便性も高まる
点字ディスプレイは全盲の学生が一人一台必ず持っていると言われるパソコンのようなものですが、試験の際には私物を持ち込むことができません。データを空にした試験専用の点字ディスプレイを用意することで、貸し出しや持ち込みが可能となりました。
パソコン通訳専用ノートパソコンに大型のノートパソコンを選択したことでキーボードが大きくなり、長時間入力の難しさや腱鞘炎になる恐れが解消されました。また共用ノートパソコン使用時に必ず行っていたパソコン通訳専用ソフトの設定、使用後の設定削除の手間がなくなり、サポートする学生の利便性が高まりました。
サポートする学生は自分のスケジュールをやりくりし、パソコン通訳勉強会を経て、基本となるスキルをしっかりと身につけてからパソコン通訳を行っています。
使用してみて
わかったこと
お互いが成長できる環境に
つながった
ふだんサポートする学生は、点字ディスプレイに触れる機会がありません。
そこで健常の学生を対象に勉強会を開催しました。点字ディスプレイを利用することにより、全盲の学生が健常の学生と同じように学習できることを知ってもらう良い機会になりました。
また、専用のノートパソコンや機材が有る無しでは、サポートする現場は大きく異なり、今となってはこれらの機材がないことは想像できず、この機会が関係者全員を相乗効果で成長させています。
その一例が、パソコンを休ませる間もなく充電している現場や、ふとしたきっかけでパソコン通訳・字幕作りなどの現場を目の当たりにした学生や職員が、障がいのある学生に対する支援に関心を持ち始めたことにより、去年はサポートする学生数40名だったのが、今年は80名にまで倍増したことです。
支援したいと思って扉を叩いてくれる学生と支援を必要とする学生双方が、これらの機材を利用できることに感謝するとともに、これらの経験が、学生の社会生活においても大きく活かされることを期待して、今後も障がいのある学生の支援の充実とともに、サポートを行う学生の養成にも力を入れていきたいと思っています。