活動事例

児童・青少年に対する IT教育の支援事業

実施報告:カラーコードで指示するプログラミング

プログラミング貸出教材を使い2度の授業を実施

教務主任
佐々木 武徹
(ささき たけお)

2023年8月と12月にプログラミング貸出教材を利用して授業を行った青森県三沢市立おおぞら小学校。2回の授業を行った理由や子供たちの様子について、授業を実施した教務主任の佐々木武徹先生と5年生担任の清水由衣先生に現地青森でお話を伺いました。

小学校の紹介

三沢市立おおぞら小学校

三沢市立おおぞら小学校は教育環境の充実を図るため、三沢市北部地区の根井・六川目・織笠・谷地頭の4校を統合して2006年4月に設立された学校です。小学校の隣には中学校もあり子供のほとんどが9年間一緒に過ごします。

写真:
クリームイエローにライトグリーンの
アクセントが印象的な校舎
写真:
(左から)教務主任 佐々木 武徹 様と
5年生担任 清水 由衣 様

1回目の授業

ロボットを自分の指示で動かす面白み

今回、三沢市教育委員会から貸出教材の案内があり、申し込みをしました。

本校では、これまで Scratch※1 を使ったプログラミング授業を行ったことはありましたが、今回は地図の上で実際にトラックロボットを動かすことが出来るプログラミング教材ということで、子供たちにチャレンジしてもらおうと考え、5年生の社会科の流通に関する単元で活用しました。

この教材のモデル指導案は2コマ(90分)の授業でしたが、実際に「モノを動かす」プログラミングは初めての体験なので、8月の1回目の授業では操作を楽しむことを目的に1コマ(45分)の授業を行いました。

写真:インタビューに答える佐々木様
授業の様子を教えていただきました

子供たちがより興味をもてるよう本来はセンサーロボットにトラックの荷台を装着して使う教材ですが、トラックの荷台は着けずセンサーロボット単体のまま動かしました。カラーコードを読み取るたびにセンサーロボットがピカピカと光る様子に子供たちは目を奪われていました。

Scratchではプログラミングを難しく感じる子供もこの教材ではカラーコードのシールを貼るだけでセンサーロボットに動きの指示ができるので、子供たち全員が集中して授業を受けていました。45分という短い時間だったので面白みとやる気が出てきたところで時間切れとなってしまい、子供たちから「もっとやりたい!」という要望がありました。

2回目は社会科
の授業として

2回目だからこそ分かった
多角的な学びの要素

そこで、流通がテーマになっているこの教材を社会科の授業の進行に合わせ再び12月に教材を貸し出していただきました。今回はモデル指導案に基づき2コマ(90分)、センサーロボットにトラックを装着し荷物を運ぶための最短ルートを考える授業を行いました。

写真:2回目の授業の様子
話し合いながら
地図上でルートを考える子供たち

授業の進行にあわせ再び教材を借りることが出来、子供たちの学びを深めることが出来たように思います。

実際に授業を
やってみて

この授業の最後に最短ルートを発表する時間が盛り込まれています。最短ルートを見つけるために工夫したことやなぜ最短ルートだと考えたのかを発表してもらいますが、子供たちが頭の中で考えたことや実際に行ったことを論理的にまとめて言語化することが難しい場面が見られました。

写真:男の子が二人、並んで文章をまとめている様子
発表の準備をする子供たち

教師がヒントを出しながら「カーブを少なくした」と言葉を導きだすなど、言語化の学びにも繋がる授業になったと思います。

またトラックロボットを動かす要となるカラーコードのシールの貼り方は自分の視点ではなくトラックの視点に立って指示を出さなければ思うようにトラックロボットが動きません。

最短ルートを考える時に受け取る側と配送する側のそれぞれに利点があることに気付き、視点を変えて考えるという勉強にもなりました。三学期にはコンビニと物流に関する単元があるので、貸出教材の授業で得られた体験をもとにさらに授業内容を深められればと思います。

貸出教材
の意義

教材の可能性

センサーロボットを動かす地図は東京都内をモチーフにした架空の地図を使っていますが、「国技館って何?」「皇居って?」という声が子供たちから聞かれました。地元の地図を自分たちで作り※2 トラックを走らせることが出来たら、さらに考え方が広がったり、地元の課題が見えてきたり、地域のことを自分事として考えられるようになるかもしれないと思いました。

プログラミング言語の習得の必要がないこの貸出教材を通し、純粋に「プログラミング的思考」を鍛えることが出来、また言語化や自分の視点以外で物事を考えるきっかけにもなる様々な学びが得られる教材でした。

Scratch:

*1  Scratch財団がマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ ライフロング・キンダーガーテンと共同開発するビジュアルプログラミング言語。無料で利用することが出来るコミュニティサイトが用意されている。難しいプログラミング言語は使わず、ブロックなど視覚的に理解しやすいオブジェクトを動かすことでプログラミング言語の知識がなくてもプログラミングが可能。

地図作り:

*2  センサーロボットは白地の用紙に幅7mm~1cm程の黒線をマジックで書くと線を読み取り動く。マジックで書いた黒線の上にカラーコードシールを貼ることでセンサーロボットに動く方向の指示を出すことも可能。本教材の発展形として学校の所在地をモチーフにした地図や架空の町の地図など、学校側で地図を作ってみることをお薦めしたい。

貸出教材は
どんな教材?

みんなでチャレンジ!ITエンジニア

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